2017年10月31日火曜日

≪2017年9月東北支援賛美(うた)の旅報告≫

おしゃべり賛美歌・菅原早樹

 今年も、東北に伺うことができたことを、心より感謝して、ご報告させて頂きます。
昨年は、春に宮城、秋に、福島と岩手と、3つの県にお伺いすることができ豊かな恵みの内に御奉仕させていただけたことを心より感謝しています。

 一方で、慌ただしい日程であった事を省みて、今年は福島県のいわきに腰を落ち着けて御奉仕させて頂きたいと計画いたしました。
 9月17日に大阪を夜行バスで出発、18日(月)にいわきに着きました。
17日から18日にかけては丁度関西に台風が来ており、バスが出発するのか、また無事にいわきに着くことができるのか、不安もありましたが、祈りつつ出発。いわきに着いた時には青空が広がっていて、この滞在の祝福を主に期待しつつ、感謝のお祈りをいたしました。
18日の朝のいわきの空
 東北に行き始めたころは、着いたその日からでも歌わせて頂いていましたが、最近は体調面も考えて、1日目は現地の視察をさせていただいたりしながら、喉と体の調子を整える方向で日程を組ませて頂いています。

 今回は、いわき滞在期間中ずっと福島第一聖書バプテスト教会のゲストルームを使わせていただけることになり、また滞在場所だけでなく、カーナビの付いた車も貸していただけることになり、本当に 感謝でした。買い物、移動、その他、自分のペースでできるのはとても助かりました。
 もちろんそうは言っても、滞在中、最初から最後まで多くの皆さんのお世話になったことには変わりないのですが。
 特に滞在中、福島第一聖書バプテスト教会の副牧師、佐藤将司先生御夫妻にとてもお世話になりました。

 ということで18日は、ゲストルームで少し休憩した後、佐藤将司先生にお願いして、あちこち連れて行って頂きました。
 まずは、以前仮設の「浜風商店街」にありました「からすや食堂」さんがお店を再建されたというので、いわきの久ノ浜に伺い美味しい昼食を頂きました。特に餃子は絶品でした!また同じように仮設の 浜風商店街にあった駄菓子屋さんや「浜風きらら」という新しい小さな商店街にも寄らせて頂きました。
このように、現地のお店を利用させて頂くのも、支援の働きに伺った時の大切なひと時であると思っています。
からすや食堂さんの店内には震災の 記録のパネルが掲示されていました。


その後、楢葉町の津波防災対策ビューポイント「みるーる天神」を経由し、昨年の秋から帰還可能になった(住む事ができるようになった)小高地区にある、福島第一聖書バプテスト教会の小高チャペルを見学させて頂きました。
「みるーる天神」にはこのような震災の展示パネルが数枚立っていました。

「みるーる天神」からの眺め。小さいので見えにくいですが、右手奥に、除染処理土壌の黒い袋が積まれているのが見えます(ブルーシートがかけられたものも)
ノアの箱舟型の小高チャペル
ここで月に一度の礼拝が再開されています。
 実は一昨年、南相馬にお伺いした時に、帰還準備が始まった小高地区を訪れたことがありました。今回、帰還が始まった小高地区に行ってみて、町は前回より整えられていましたが、活気があるかと言えばそうではなく、帰還できるこということと復興とはまた別なのだということ強く感じました。
 記録では、小高地区は、震災発生当時の人口12,842人に対し、帰還しておられるのは、8月末現在で2,156人とのことです。
 また見学しながら、この地区にお住まいだった方の震災当時の状況について、実際の場所を通りながら聞かせて頂きましたが、ほんの少しの巡り合わせ、状況の違いで、助かった方、召された方・・・ その不思議は、人には理解できないもので、ただすべてのことが主の御手の中にあることと、おゆだねするほかはないのだと思わされました。
                                         
 翌、19日(火)午前中は、福島第一聖書バプテスト 教会のちょっとカフェ。
福島第一聖書バプテスト教会は福島県大熊町にあった、原発に一番近い教会。震災被害によって100年先を見越して建てられた会堂は閉鎖、また近隣に合った3つのチャペルもすべて閉鎖。教会員の皆さんも住むところを失い、教会ごと避難、放浪の末に、いわきに「つばさの教会」を建てられた教会です。
 今回で3回目となる「ちょっとカフェ」。今回は、夏休みをはさんで久しぶりのコンサートということもあり、地域の方(教会外の方)も含めてたくさんの方が集って下さいました。自らも被災者でありながら、地域の方の励ましとなっているこの教会で歌わせていただけることは、私にとっても大きな喜びです。

 夜には、福島第一聖書バプテスト教会の会員のHさんのお宅に伺い、美味しいおうどんを頂きながら、震災当時のお話、また、これまでの経緯についてお伺いすることができました。
 自らも大変な経験をしておられる中で、Hさん御夫妻は、支援に来られる方を度々もてなし、ねぎらって下さっているとのこと。神様の愛に生きておられる姿に心を励まされました。

 さていわきへは、この福島第一聖書バプテスト教会とのつながりを頂いて訪問が可能になったのですが、今回、「この福島の、いわきの地で尊い主の御業に励んでおられる先生方、また教会のために、また、痛んでおられる方々のために、小さな者ですが、何かさせていただけることがあれば、是非お手伝いさせて頂きたいと願っています」と、佐藤将司先生にお願いして地域の先生方にご連絡を頂きましたところ、平バプテスト教会と、勿来キリスト福音教会の二つの教会からお声かけを頂き、幾つかの御奉仕の場をお与えいただきました。
左から勿来キリスト福音教会の住吉美和子先生、 教会から応援に来て下さった姉妹、施設長さん、
20日(水)は、勿来キリスト福音教会で支援しておられる特別養護老人ホーム「せんだん」を訪問、コンサートをさせて頂きました。
 この「せんだん」は、双葉町の方が避難しておられた仮設住宅の中にできたグループホームにおられた皆さんのために建てられたもので、特別養護老人ホームとグループホームが隣りあって建てられています。今年6月にできたばかりで、まだ、職員の方が足りていないため、入居予定の方にお待ち頂いている状態だそうですが、それでもこの日、グループホームの方も含めてたくさんの皆さんが集まって下さいました。

 21日(木)は勿来キリスト福音教会の祈祷会で賛美とお話をさせて頂きました。
皆さんそれぞれに、かたい信仰に立って歩んでおられる姿勢に励まされました。

午後は勿来キリスト福音教会の住吉美和子先生のご紹介で、美和子先生と共に、楢葉町にある修道院を訪問させて頂きました。
 こちらにはご高齢の修道女の方が3人で住んでおられます。楢葉町に帰還ができるようになったその最初の日、役場が開くのを待つようにして、住民票を移し、生活を始められたとのこと。楢葉に来られる前は三陸等、他の被災地で御奉仕活動をしておられたそうです。楢葉町は、震災発生当時住民登録人数は8000人余りだったところ、今年5月現在では854世帯、1,616人が帰還しておられるとのことですが、若い世代は 少なく、まだ開いているお店も少なく、便利なところとは言い難い地で、祈り、愛の生活を実践して おられるシスターたちのお働きはとても尊いものだと感じました。色々なお話を伺わせていただいたお礼に、賛美を一曲歌わせて頂きました。

 22日(金)の午後は、双葉町の仮設住宅を訪問させて頂きました。
被災地の町の皆さんの多くは、あちこちの仮設住宅に別れてお住まいですが、双葉町は、いわき市の南台ある仮設住宅1箇所に集まって住んでおられたそうです。
20日に訪問させていただいた「せんだん」は元々、双葉町にあった施設ですが、この仮設住宅内にて事業を再開され、仮設住宅終了に向けて新たに、市内において開設された施設でした。
 その南台の仮設住宅内の集会所「ひだまり」において、コンサートをさせて頂きました。他の地域でもそうでしたがこちらでも、仮設住宅を出られた方がたくさん、福祉の方の送迎で参加しておられました。一人暮らしの方も多い中で、こうした集まりは貴重な機会のようです。
 皆さん、喜んで下さり、一緒に歌ったり、話しかけて下さったり、共に楽しい時を過ごさせて頂く ことができました。

 23日(土)午前中は、日曜日の午後にコンサートをさせて頂く平バプテスト教会にてリハーサルをさせて頂き、午後から、勿来キリスト福音教会に移動、教会が、地域の方に向けて開いておられる「ジョイフル・カフェ」にてコンサートをさせて頂きました。
 御近所からも人が来ておられ、和やかなひと時となりました。



 また夜は、福島第一聖書バプテスト教会のPop Timeという賛美集会で、特別賛美とショートメッセージを取りつがせて頂きました。
 若い人たちがたくさん集う集会ですが、もちろん、若い方々だけでなく、色んな層の方が集っておられて活気のある集会でした。
 実はこの集会での御奉仕は、いわきに着いてからお伺いしたのでメッセージの準備をしていた訳ではありませんでしたが、不思議に、語るべきことを神様が導いて下さり、無事に御奉仕を終えることができました。

 そして、24日(日)は、勿来キリスト福音教会にて、第一礼拝、第二礼拝、共にコンサートスタイルでの礼拝を取り次がせて頂きました。
 礼拝での御用は、普段のコンサートとはまた少し違う緊張感がありますが、この地で、主の御用に 励んでおられる教会を励ましたい、ということも今回の旅の目的でありましたから、礼拝で御用をさせていただけたことも本当に大きな感謝でした。
 午後は、大急ぎで平バプテスト教会に移動、コンサートをさせて頂きました。
感謝なことに、19日のちょっとカフェで、平バプテスト 教会でのコンサートも告知させて頂いたところ、こちらの コンサートにも駆けつけて下さった方がおられました。
 平バプテスト教会でも、たくさんの方が参加して下さり、聞いて下さる方と、歌っているわたしとの間にとても温かいものが流れるひと時を過ごさせて頂きました。
 
 25日(月)は、いわき滞在最終日。御奉仕はなかったのですが、19日の夜、お宅にお招きくださったHさんが絵画展をしておられるギャラリーに連れて行って頂きました。
その絵を拝見しながら、震災がなければ出会わなかった方々が、その日々の中で、努力して素敵な 時間を過ごしておられる事に、改めて感銘を受けました。

 その後、小名浜地区を訪問。「ら・ら・ミュウ」といういわき市観光物産センターに連れて行って頂きました。
ら・ら・ミュウの展示会場にはパネル展示だけでなく、仮設住宅での生活がリアルに再現されているコーナーや、震災当時の映像を見ることができるコーナーもありました。

 こちらも、震災時には大きな被害があったところですが、2階には、震災後しばらくたってから展示されていた震災被害の展示物が保存されていました。
当初期間限定の予定だったものが、多くの方の希望に より、そのまま残されることになったのだそうです。

 その後一旦教会に戻り、夕方、私は一人で、再び小名浜から沼ノ内海岸あたりまで、祈りながら運転して戻ってきました。

 そして夜は教会で、集まってくださった有志の方と最後のお食事をして名残惜しいひと時を過ごさせて頂きました。
 今回は滞在中に、ただコンサートをするだけでなく、信徒の方や、現地の牧師先生、また宣教師の 先生など、様々な方との交流の時間がたくさん持てたことも感謝しています。
そのようにして、無事、全ての御奉仕を終え、夜行バスにて、いわきを後にいたしました。

 今回で福島第一聖書バプテスト教会での御奉仕は3年目でしたが、原発被害により避難してこられた福島第一聖書バプテスト教会だけでなく、今年は、震災前からいわきで礼拝を守られていた教会で 御奉仕させていただけたことで、今までとは少し違う視点でのお話もお聞きすることができ、とても 感謝しています。
 そして、福島の地には「原発」という問題が、今もなお大きくのしかかっていることを改めて感じ ました。
 いわきの地には、たくさんの津波被害を受けられた方がおられます。
今回、最後に海岸線を祈りながら走ったのは、その、津波被害が大変大きかった地域でもありました。
 防波堤工事、空き地になったままの住宅地・・・ゆっくり見る時間はありませんでしたが、津波の 大きな爪痕をこの目で見ながら祈りました。
 一方でいわきには、原発被害で避難してこられた方がたくさんおられます。
被害の違い、補償の格差、いろいろな問題がある中で、教会がそれらの問題を越えて、地域の中で 良き働きを続けておられることに改めて感謝致しました。
 
 どこへ行ってみもなさん明るく、前向きに過ごしておられますが、どなたも問題がない訳ではなく、その問題の中で、現実に立ち向かいながら頑張っておられる姿に、いつもながら、伺った私のほうが 励まされる思いで帰ってきました。
 東北に出掛けることは、私にとってとても大切な働きとなっています。
 制約は色々あり、度々出掛けることがかなわない中で、少なくとも1年に1度、東北に出掛けることは、私の願いです。
 嘘やお世辞ではなく、東北は、私にとっての第二の故郷となりました。
胸が痛む現実がそこにあるにもかかわらず、「帰ってきた」という懐かしさやあたたかいぬくもりがそこにはあります。
 わたしが行く事が、そこにおられる皆さんの、何かのお役に立っているのかどうか、自信はありませんが、ただ「忘れていない」「祈っています」という思いをお伝えするために、これからも東北に足を運びたいと思っています。

 関西にいると、最近では東北のニュースが流れてくることは稀です。
今回、いわきのある先生は(関西に帰ったら)「ぜひ、現状を皆さんに伝えて下さい!」と強く言っておられました。
 まだ、あちこちに除染土壌の黒い袋が積み上げられている風景。その袋が破れてきたために、その上からまたシートをかぶせてごまかしている現状。避難指示解除と言っても居住区域以外は十分な除染もされていない状況。実際には放射線量の高いところで、国の勝手な計画で、常磐線開通のための工事をしている方もおられるそうです。
 またオリンピック関連の事業のために建築資材が高騰して、被災地での建設事業にも影響を及ぼしているそうです。
 私自身震災の翌年から福島、また東北に行っていますが、画期的に復興している!と感じることは 稀なのです。
 だからこそ「忘れていない」ということをお伝えすることは大切なことだと感じています。どうか皆様も、続けて東北のことを忘れないで、お祈りに覚えて下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。

◆今回も「東北支援 賛美(うた)の旅」に際しまして、東北応援団Love Eastさんから、必要経費の 一部を御支援頂けました事を心より感謝致します。
東北応援団は、震災当初より、アーティスト派遣によるコンサート支援や、また被災地でのウクレレ教室の開催、その他各地でのチャリティーコンサートなどを続けておられます。続けて、これらの働きのためにもお祈りいただければ幸いです。

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